“日が落ちてあたりが薄ぼんやりしてくる。あたりは夕日で黄金色に染まり、遠くに誰かいるが誰なのかはわからない。
こういう時刻を日本では『かわたれどき(彼は誰時)』という。
なんて美しい日本語だろう”
中島らものエッセイですが、”具体的なイメージ”と共に強く印象に残っています。
杉のエイジング
同じく『タニジュン』こと谷崎潤一郎の名随筆『陰影礼賛』。
「モノが古びているさま」を「時代がつく」と表現しておりました。
これもなんて美しく、そして「カッチョイイ」言葉でしょう。
文中ではトイレの金具(銅)が錆びて緑青が出ている様を指していた気がしますが?
石に生えた苔だったかな?
とにかくとてもイカした言葉だと思うので日常会話で使って相手のマウントを取ってやろうと機会を伺っています。
しかしいざ「今やっ!」というタイミングがあっても、地方都市和歌山の公務員豊(ユタカ)の次男であり素養も教養もない僕が使うのはやはり言葉負けしてしまいます。
また、無駄に歳を食ってはいるがやはり未だ39歳の若輩者、会話で使うとなるとどうしたって「キザ」に過ぎ、結果ただの「イキってる奴」にしかなり得ません。
やはりもっと歳を経て眼球にハエが止まっても瞬きしないくらい枯れた境地に達し成熟するまで使うのは止しておこうと思います。
で、「使えそで使えなさそでウッフン」な「時代がつく」の変わりになる言葉といえば、舶来語ですがやはり「エイジング」ということになろうかと思います。
「経年変化/劣化」もなんだかピンと来ませんし(特に「劣化」は違和感)。
中田木材さんは年月が経って木の色が変わることを「焼ける(灼ける?)」と言っていましたが、そこには「時代を経て熟成され良くなる」というニュアンスが無い気がしてイマイチぴんと来ません。
・・・うるさいってか。
どうでもエエって?!
ち、チキショウ!
「続き」はNIKKIで!
杉、黒くなりやすいってよ。
というのがベースにあるなか、阿保さんの著書を読みました。
https://02house.net/blog/abo/02house1215#abobook
前述した「軒の長さ」や「ロフト」、「寝室天井の傾斜」など、「いえづくり」について示唆に富んだ本なのですが、使用する材木の種類についても詳しく載っていました。
中でも「安価」で「暖かみがある」素材として記載されていた杉はまた、「経年変化で色が変わりやすい」とも書かれていたのです。
翻って同じ針葉樹である「ヒノキ」は色が変わりにくいそうです。
夫婦揃って古い道具やエイジングした革が大好きな02家では、迷わず床・階段・天井に杉を使用してもらいました。
床フローリング材は工藤さんオススメの30mm厚杉を1F2Fに入れてもらいました。
黒光りする杉、カコイイ。
20年経った杉の色はこれや!
前フリが長すぎて直帰率も99%、ページ滞在時間も30秒を切ってると思いますが、ここから本題です。
これはかぁちゃん実家で通称「オカマの赤川さん」主催の宴会にお呼ばれした様子。
会場となった囲炉裏を囲むこの小屋、なんと赤川さんがセルフビルドで完成させたとのこと。
使用した材木の殆どが杉です。
当然床も天井も杉。
建てられてから20年ほど経っているとのことですが、どうですかこの黒々した室内。
か、カッチョイイ~~。
めっちゃええわ~~。
囲炉裏がよう似合とる。
02家はまだ1年も経っていませんが、いずれはこんなに黒光りすることでしょう。
こんな風に「結局は真っ黒」になるのがわかっているので、跳ねた水が床に染みを作っても、ロックされたまま引き摺られたキャスターが黒いゴムの跡をつけても、屋根裏収納扉を引っ掛けるフック棒を落として凹みが出来ても、ぜんぜん気にならないのです。
だって、結局真っ黒になるんだもの。
はーやく黒ーくなぁ~れっ。
補足~山名酒造のゆず酒はユズユズしてうまい!~
この宴会で新聞記者さんがおみやげに持ってきた山名酒造のゆず酒。
これがほんとおいしい。
そのまんまの柚子の味。
おみやげに持っていくと喜ばれます。
みんな美味しいっていう。
因みにこれが70年『時代がついた』人間。
ヒトもこれくらいエイジングすると油も抜け味わいが出て良いですな。
(つづく)
コメント
”時代がつく”
本当にかっこいい言葉ですね。
早速ゆず酒、注文しました。楽しみです。
あり様
>”時代がつく”
>本当にかっこいい言葉ですね。
そうなんですよ。
カッコよすぎて僕なんかが使うと
”あぁ?!調子乗ってんのか!?”
ってキレられそうなので使えません。
ゆず酒、間違いないと思います。
何本も買いましたし、美味しすぎて蔵元にもお邪魔しました。
手土産にも喜ばれますよ。