その日工藤さんの事務所にやってきたのは左官職人というよりどこぞのショップオーナーのような梶原さん。
家づくり開始当初から壁紙クロスや化学物質へのヘイトスピーチを繰り返していた僕に、“それなら梶原さんしか居ない”と工藤さんが呼んでくれたのです。
『泥水土工房』梶原さんとの打ち合わせ
壁は「こんな感じにしたい」というか「こうしたい、これがいい」、と確固たるイメージが有りました。
住宅建築 2015年 10 月号 に阿保さんが載ってた
先日かぁちゃんから
“阿保さん載ってんで”
と送られてきたURL。
さっそく本屋で内容チェックすると、耕木杜のサイトで見た物件、『つくばの家』が載っていました。
サイトでは見ていましたが、やはり印刷物はパソコンモニタより断然多くの情報量があり、壁の雰囲気も立体的に伝わってきます。
2,500円はたっかいなー、と思いましたが清水さんの舞台からバンジーして購入しました。
まずはこの雑誌を拡げ、「こんなカベにしたいんです」とそれを梶原さんに見てもらいました。
細かいですが、壁のカドについても見てもらいます。
さらに読み込んでボロボロになった『大工が教えるほんとうの家づくり』から『Rの家』のページも開き、内壁と外壁を見てもらいます。
知ってるヤツはだいたい左官職人
「あーこれは誰々さんがやったカベやな」
梶原さんがボソッと呟いた一言にビクッと反応。
「え?ご存知のかたなんですか?」
期待を込めた僕の質問に、
「うん、こういう左官する職人は少ないからだいたいみんな知ってる」
と希望通りの返答。
やったー、遂に「阿保系人脈」に辿り着いたー!
まぁ梶原さんが阿保さんと直接面識があるわけではないですが。
それでも阿保さんの本によく出てくる日本を代表する左官職人、淡路島の久住章さんはよく知っているそう。
よく知っている、というか直接左官を習ってたって言ってたっけ?
面識があるのはお父さんの章さんだったかな?息子さんの有生さんだったかな?両方?
記憶があやふやですが。
まぁどっちにしてもビンゴです。
1stコンタクト終了
打ち合わせ後に”お願いしよう”とすんなり決められたのは、打ち合わせ中にこんな話をしたからです。
コスト的に竹小舞はムリだけど
土壁や漆喰を塗る際は竹を編み編みして「竹小舞」を造ります。
その上に土を塗っていくと。
しかし上記リンク先の写真を見てもわかるように、竹小舞を作るのはすごく時間もお金もかかり、今回は到底ムリなわけです。
石膏ボードの上に塗っていく
となると、石膏ボードの上に塗っていくわけですが、土壁や漆喰が剥がれないようにする「シーラー」を石膏ボードに塗らないといけない。
「これ塗らな壁剥がれてくるから塗らなあかんねん。フォースターやで。まぁ塗んの嫌やけどな」
と梶原さんが言った一言で、”梶原さんとこでお願いしよう”と決めました。
”接着剤や化学物質が嫌だという感覚をわかってもらえる”
と思ったからです。
こういうのって大事かなと。
サンプルを何パターンか作ってもらうことに
やはり写真や言葉だけではイメージの共有ができないです。
「何パターンかサンプル作るよ」
と言っていただいたのでお願いすることにしてこの日の打ち合わせは終了しました。
打ち合わせ後に
”梶原さん、阿保さんの家塗った人知ってるって”
とかぁちゃんに伝えると
”ほんまけ!やったー”
とかぁちゃんもたいそう喜んでおりました。
(つづく)